大型二種の難所・鋭角コースの攻略ガイド(実寸図8枚で完全解説)
大型二種の技能試験で、多くの受験者がつまずくのが鋭角コース(鋭角)です。
普通車とは比べものにならない全長と内輪差があり、とくに全長10m超の路線バスでは、前進だけでは絶対に曲がれない構造になっています。
どこでハンドルを切り、どこで戻し、どこで後退すれば良いのかが分かりづらく、
「毎回脱輪する」「切り返しのコツが掴めない」という声をよく聞きます。
この記事では、実際のバスを使った図解(全8枚)で、未経験者でも理解できるように鋭角の曲がり方を丁寧に解説します。
鋭角コースとは何か

鋭角とは、教習所や試験場に設置されている、L字カーブよりさらに角度のきついコースです。大型二種・大型免許の試験では、「内輪差を理解しているか」「切り返しを正しく使えるか」を確認するための重要な課題になっています。
大型二種の鋭角は、あらかじめ前進と後退(切り返し)を組み合わせる前提で設計されています。
「前進だけで通ろう」とすると、ほぼ確実に脱輪や接触になってしまいます。
鋭角を成功させるための三つの鉄則
1. 前輪ではなく「後輪」を見る
大型車は、前輪よりも後輪が内側を通るため、前輪だけを見て走るとほぼ確実に失敗します。
ミラーを使って後輪の位置を意識し、常に「後輪がどのラインを通っているか」を確認することが重要です。
2. 入口の位置取りで難易度が大きく変わる
鋭角は入口で勝負が決まると言われるくらい、最初の位置取りが重要です。左に寄せて進入できると、右折時のスペースに余裕が生まれ、その後の操作がぐっと楽になります。
3. ハンドル操作は「切る量・切るタイミング・戻すタイミング」が命
鋭角で多い失敗は、ハンドルを切るタイミングのズレと、切りすぎ・戻し遅れです。どこで最大舵角にするか、どこでいったん戻すか、どこで軽く切るかを理解しておくと、安定して通れるようになります。
図で分かる大型二種・鋭角コースの通り方
ここからは、実寸サイズのバスを使って描いた8枚の図(図1〜図8)を教本として、鋭角コースの具体的な通り方をステップごとに解説します。
図1:左に寄せて、鋭角の入り口へまっすぐ進入する
まずは左側に寄せつつ、鋭角の頂上へ向かいまっすぐ進入します。
ここでのポイントは、「寄せすぎず、しかししっかり左に寄せる」ことです。
- 左ミラーで、左後輪と縁石の距離を確認する
- わずかに余裕を残しつつ、できるだけ左側へ寄せる
この段階でうまく寄せられていると、後の右折時に大きなスペースが確保でき、鋭角がぐっと楽になります。
図2:前輪が三角の延長線に差しかかったら、右に大きく切る
鋭角で最も重要なタイミングです。
鋭角の内側(三角部分)の延長線上に前輪がかかった瞬間を目安に、右へハンドルをめいっぱい切ります。
そしてもう一つ重要なポイント。縁石にぶつかる直前で停止しますが、その際タイヤの向きは直進の向きに戻しておきます。
- ハンドルを素早く、しっかりと右へ切る
- とにかく半クラッチで、ゆっくりと前進する
- 縁石接触前に停止、その際のハンドルはまっすぐに
切るタイミングが遅れると鋭角の先で切り返すことになり(=身動きが取れなくなる)、逆に早すぎると内輪差で苦しくなります。図を頭に入れて、目印をしっかり確認してから操作しましょう。
図3:後輪が縁石に触れる直前まで後退。ハンドルは切りすぎない。
ハンドルを左に切りながら後退をする。後退前の安全確認忘れに注意!
そこで縁石に近づいてきたら、停止直前にハンドルをまっすぐに戻し停止します。
後輪の位置がわかりにくい場合は、車幅灯を目安にするとわかりやすい。(位置関係を練習でたたき込む!)
- 縁石や三角部に当たらない位置で確実に停止する
- 停止時はハンドルを中心に戻す
- ゆっくりと後退し、後輪を縁石いっぱいに。(車幅灯目安)
大型二種の鋭角では、この後退は「失敗のリカバリー」ではなく、正しい手順の一部です。焦らず、落ち着いて操作しましょう。
私が教習中によく注意を受けたのが、後退時の安全確認忘れでした。後退時に安全確認を忘れないようにしましょう。
図4:右に軽く切って前進し、車体を出口方向へ寄せる
姿勢を整えたら、今度は右に「軽く」切って前進します。ここでのポイントは、最初から一気に最大舵角にはしないことです。
最初に目一杯切ると、内輪差で内側が狭くなります。わずかに前進した後に右内側の状況を見つつ、左の前輪が縁石ギリギリを通れる場所に通せれば最高。
教習時には、毎回2回の切り返しをしていました。でも、私が検定を受けたときは、左前のタイヤがいいコースに入り、切り返し一回で鋭角をクリアーできました!
- 前進の前半は軽い右切りで様子を見る
- 後輪が内側縁石に近づきすぎないよう、ミラーで確認する
右へ強く切りすぎると、一気に内側へ寄ってしまい、途端に内側の余裕がなくなります。最初は「軽い右切り」で様子を見ながら、「前輪が縁石ギリギリを通る」ようにすればOK。
図5:再度後退、後輪を縁石ギリギリまで後退させる
2回目の切り返しが発生する場合に意識することは、「車体の向きを変える」のではなく、「左前輪が縁石の内側を通れるように下がる」ことを意識します。
(状況を見ながらにはなりますが)左にほんの少しだけハンドルを切りながら後退し、後輪を縁石ギリギリまで寄せます。
- 左前輪がコース内に入るように「下がる」という意識を持つ(車体の向きを変えるステップではない!)
- 左へ切る量は「少しだけ」が基本
- 車幅灯などを目安に、後輪位置をミラーで確認する
ここでしっかりと後輪を縁石際まで寄せておくと、出口方向への前進が非常に楽になります。逆に、後退が浅いと左前輪が曲がりきれず、再度切り返しが必要になることもあります。
図6:後輪の位置を見ながら右に切り、出口方向へ前進する
後輪を縁石ギリギリに寄せたら、右に切って出口方向へ前進します。ここでも重要なのは、左前輪と右後輪の位置をミラーで確認することです。
- 前半は軽い右切りで、車体の動きを確認しながら進む
- 後半でやや強めに右切りにして、出口の方向へ向き直る
左前輪が脱輪しないように注意しつつ、後輪が縁石に近づきすぎないよう、慎重に前進します。速度は常にゆっくり、ひたすら半クラッチで。
図7:出口の左折を意識し、左側に適度な余裕を残してまっすぐにする
出口での左折をスムーズに行うため、ここでは左側に適度な余裕を残して車体をまっすぐ気味に整えることが大切です。
- 強く右に寄せすぎないよう注意する
- 出口の左折で後輪が内側に当たらない位置をイメージする
出口の左折をゴールとして考え、「このあと左に曲がるための準備」をしているイメージで前進します。
図8:姿勢が整ったら、そのまま前進して鋭角クリア
ここまで来れば、鋭角の難所はほぼクリアです。車体が出口のラインに対しておおむね平行になっていれば、そのままゆっくり前進して構いません。
- 左右のスペースを確認しながら、丁寧に前進する
- 出口の左折がきつくなりそうなら、一度停止して調整する
落ち着いて前進すれば、鋭角コースは無事クリアできます。
よくある失敗パターンと対策
失敗例1:入口で左に寄せきれていない
入り口で左に寄せきれていないと、三角部分の内側に頭から突っ込む形になり、切り返しの回数が増えます。
対策として、図1のように「最初の寄せ」を丁寧に行うことが大切です。
失敗例2:ハンドルを切るタイミングが遅い・早い
図2の位置で右に切り始められないと、三角形の先(=狭い場所)で切り返すことになり、後退をするスペースがなくなります。
対策として、「前輪が延長線を踏んだ瞬間」を明確な目印として覚えておきましょう。
私は、コース横にある大きな「岩」と「松の木」を目印にしてハンドルを切り始めていました。
失敗例3:後退が浅く、後輪が縁石に寄っていない
図5の後退が浅いと、出口側で車体が立ちきらず、再度切り返しが必要になります。
対策として、後輪を縁石ギリギリまで寄せるイメージで、教習中に何度も見え方と位置を確認しておくといいでしょう。
まとめ:鋭角は「前後輪を見る技術」で攻略できる
大型二種の鋭角コースは、最初は難しく感じるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば必ず通れる課題です。
- 常に前輪と後輪の位置を意識する
- 入口でしっかりと左に寄せることで、右折のスペースを確保する
- 図2の位置で思い切って右に切る
- ギリギリまでの後退を行って姿勢を作る
- 前進・後退の時に安全確認を必ず実施
この記事と8枚の図を教本として何度かイメージトレーニングしておけば、教習車や試験車に乗ったときに「どの位置で何をすればよいか」が、ぐっとイメージしやすくなります。
大型二種の難所である鋭角を、確実にクリアするための参考にしてください。
